MINORU SATO
FEATURE 067

「音」を発生させる現象を独自の視点と創造性を持ってサウンド・アート作品に転化して魅せるアーティスト、佐藤実。WrKとしてのレーベル運営を経て、別ソロ名義m/sとしての活動から小川敦生とのユニットIl Grande Silenzioやfurとしての音楽活動、そしてインスタレーションの制作、執筆活動からアート・イベントの制作などと幅広い分野でその豊かな感性を輝かせています。そんな彼が2008年開催の音楽イベントfleaongak #1出演から実に7年振りに新潟の地を踏みます。前回の公演ではガラス管を用いたアンビエントなせせらぎを感じさせた作品に対して、今作は巷で話題のヘヴィ・ビート・マシーン『Sex God Sex』が新潟初稼働。聴覚のみならず、視覚的にも非常に興味深い彼の作品は、全感覚で要体感ですよ!




HOMETOWN
Tokyo, JP

MEMBER
Minoru Sato (M/S, IL GRANDE SILENZIO, FUR)

LABEL
SENUFO EDITIONS (IT)
MEEUW MUZAK (BE)
SELEKTION (DE)
AUTUMN (US)
ERRANT BODIES PRESS (US)
AO TO AO (JP)
TWO ACORNS (JP)
SPEKK (JP)
WRK (JP)

WEB
MINORU SATO

VIDEO

Sex God Sex


Thermal Acoustics 2010


Fact Of Recording Fact





MEEUW MUZAK Japan Tour 2015 in Niigata



2015 07 10 FRIDAY

Shofukuji Temple

Open & Start 18:00

Door 2000JPY

lineup:
DJ MEEUW
ASUNA
MINORU SATO
ILFGC


more info: ANTI MUSIC


+


MEEUW MUZAK Japan Tour 2015



07 03 - Tokyo - Anagra
07 04 - Tokyo - XYZ Collective
07 07 - Tokyo - Forestlimit
07 09 - Yokohama - Shicho Shitsu 2
07 10 - Niigata - Shofukuji Temple
07 11 - Kanazawa - Kapo
07 12 - Kobe - Space Eauuu

total info: http://fb.com/886076261462954
まず始めに自己紹介をお願いします。

はじめまして、佐藤実です。m/sという名称でも活動しています。主に物理的な現象を直接用いた作品を作っております。

いつ、どのようにして音楽活動を開始されたのでしょうか?

80年代終わりくらいから制作活動を行っており、音の出る作品が多くありました。音楽は大好きなのですが、私の中では音楽は、一応、聴覚芸術という分類で捉え方てました。視覚芸術、聴覚芸術というように、その間に大きな隔たりがあった時代で、わたしのやっていることは音楽からも美術からも受け入れて頂けない状況にありました。視覚/聴覚という感覚器官に沿った分類から距離をおいて制作していましたので。改めて音楽を意識し始めたのは2000年代に入ってからといっても良いかもしれません。物理現象が作り出す音が、調律やリズムといった音楽の用語に取って代わる程度に、耳を楽しませてくれたからかもしれません。また、その頃になると先の隔たりもずいぶんと低くなってきた印象があります。それはとても良いことです。

制作にはどのようなものにインスパイアを受けることが多いですか?

主に自然現象です。ただ自然の出来事は素晴らしいといった短絡的なモノの見方ではなく、そのような現象を人はどう捉えるのか、というところです。たとえば熱について、人はどのように考えるのか?熱いとか冷たいといった感覚ではなく、本質的な無秩序の指標が熱の正体です。世界を秩序立てる欲求が人に本来備わってるとすれば、熱はまったくその外側の世界に位置づけられているわけです。人にとっては全くもって不本意な概念の発見な訳です。そういった事柄に興味があるのです。

今回の新潟での演奏は実に7年振りとなりますが、新潟の印象についてはいかがでしょうか?

もう7年も経つんですか!とてもとても良い思い出です。新潟はシーンを大切にしているなぁといつも感心していますので、これからもっと頻繁に来れたら嬉しいです。

前回の演奏ではガラス管を用いた繊細な響きと音に対して、今回発表される予定の自作楽器ヘヴィ ・ビート・マシーン『Sex God Sex』はその真逆とも言える重く、暗く、強い音の印象があります。どのようにして今作は制作されたのでしょうか?

個人的にゆっくりしたテンポの重低音の音が好きでしたので、そんな音楽を奏でられる装置を作ろうと思ったわけです。音楽の構造の一つに、繰り返されるという特徴があります。はじめはピックアップを段階的に引き摺るというアイディアがありました。それは最終的には別の形のインスタレーションとして実現しました。『Sex God Sex』はより楽器的に考えた訳です。繰り返しの構造と不意に生じる力のバランスの均衡が崩れた瞬間の衝撃音、それが周期と非周期のバランスになるのですが、聞く人の心理に於いては楽音と非楽音の境界を揺動しながら探るような経験になっていただければと思っております。

ちなみにこの自作マシーンの名前の由来はSwansの曲名でしょうか?

そうです。曲も好きですが、語呂が良いのでそのセンスに敬意を払って名前を拝借いたしました。

今回はご自身もメンバーとして活動されているIl Grande Silenzioの最新作がリリースされたベルギーのレコード・レーベルMeeuw Muzakとのジャパン・ツアーというかたちになりますが、レーベルについてはいかがですか?

もう20年近い付き合いです。でもリリースはIl Grande Silenzioがはじめて。独特のセンスの7インチが多くて変わったレーベルですよね。

最近のお気に入りのアーティストや作品がありましたら教えて下さい。

最近は60〜70年代の西欧映画の音楽やナイヤビンギ・スタイルのレゲエを聴いてることが多いです。

今後の予定がありましたら教えてください。

7月26日(日)に東京・水道橋のFtarriにてIl Grande Silenzioが出演するイベントがあります。他の出演者も以下のように豪華なイベントです。

吉川基子(ヴァイオリン)+ 増渕顕史(ギター)
村山政二朗(ドラムス)
Cal Lyall(ギター)+ Kouhei Harada(エレクトロニクス)
Il Grande Silenzio:佐藤実(自作楽器)+ 小川敦生(バンジョー、ヴォイス) 村山政二朗(ドラムス)+ Samuel Dunscombe(クラリネット、エレクトロニクス)

またわたし個人では7月31日〜8月9日まで展示とソロ・パフォーマンスのUKツアーがあります。日本からは私と堀尾寛太くんが参加します。

(link: http://fonfestival.org/artists)

■最後にこちらを読んでいるリスナーに一言お願いします!

ぜひ作品を見聞きしにきてください。



INTERVIEW in July 2015
TEXT by Masato Hoshino